「せっちゃん、ネギくんのこと好きやろ?」








唐突だけど・・・的を得たお嬢様の発言に、私は口から心臓が飛び出すかと思った。






















T'm in L




























「わぁぁ、こ、このちゃ・・・いえ、お嬢様、い、一体何を・・・っ!!」


慌てふためく私を尻目に、お嬢様は「このちゃんて呼んでってゆーてるのにぃ」と、今度は的外れな
ツッコミを入れながら、ふくれっ顔を浮かべている。


いや、今はそれどころではない。







何故、お嬢様は知っているのだろう・・・誰にも明かしていない、私の・・・ネギ先生への想いを。









修学旅行で、初めて直に触れた・・・ネギ先生の人柄。

教室で見せる、優しい・・・人当たりのいい笑顔しか知らなかった私にとって、あの一件は
今になってみれば何物にも変え難い、宝物のような思い出となっている。




普段のネギ先生からは想像も出来ないほど、険しい表情、凛とした眼差し。




あの優しい少年が、どれだけの決心と想いを抱えて・・・祖国を離れてこの地にやってきたのか。
その重さの片鱗を感じる度に、私の心にふつふつと湧き上がってきた想い。







ネギ先生の目指す先を・・・この目で、見てみたい。
赦されるのならば、その傍らで。









―――――否、赦されるはずなど・・・ありえない。









私には私の使命がある。

このかお嬢様の御身をお護りするという使命・・・いや、私自身が立てた、誓いが。






今もあのときの気持ちに、変わりなどない。

このかお嬢様を、私自身の手で護りたいというこの気持ちに・・・微塵の変化もない。








でも・・・。









修学旅行で交わした・・・・仮契約という名の、口づけ。









『緊急事態』だから。『このかお嬢様を救出するため』だから。

ただそれだけで交わされた・・・言うなれば、突発的な事故のような出来事。





でも・・・あの時の感触が・・・湧き上がってきた感情が。








忘れられなくて。








抑え切れていないことを、お嬢様に悟られた・・・おそらく、そういうことだろう。


己の感情ですら、上手くコントロール出来ないなんて。
しかも一番知られるべきでないお嬢様に、悟られてしまうなんて。



我ながら情けない。










「・・・・・お嬢様、お言葉ですが、私はそのような感情をネギ先生に持ち合わせておりません。」





大きく息を吸い込んで。

少し伏目がちに(お嬢様の目を見ると、またボロが出そうだったから)一気に捲くし立てる。
一瞬の間の後・・・意を決して顔を上げると、お嬢様の瞳を見据えて、更に言葉を続けた。





「私は・・・私にはお嬢様を護るという、私自身が立てた誓いがあります。その誓いを遂行するために
そのような感情など・・・必要、ありません。」




この気持ちに嘘はない。
全て偽りのない・・・私自身の本音だ。

お嬢様の護衛である以上、いつ如何なる時もお嬢様のお傍で、お嬢様のことだけを考えて行動する。

それが当たり前のことなのだ。





それなのに。




胸の奥の方が、キリキリと痛む。
まるで何かの・・・警鐘のように。




違う・・・違う!
私は間違ってなどいない。





これが私の・・・進む道なのだ。












「・・・・・せっちゃん、ウチな・・・」



どこか寂しげなお嬢様の声が、静寂の中、小さく響く。




「ウチ、せっちゃんに護ってもらえるんは、嬉しいえ。大切な友達のせっちゃんと、いっつも一緒に
いられるしな・・・」


少しはにかみ、照れ笑いを浮かべながら、お嬢様はゆっくりと言葉を綴る。


「でも、ウチはせっちゃんの友達として・・・ゆうておきたいことがあるんや。」











お嬢様を見つめる私の視線と、どこか決意を秘めたようなお嬢様の視線が交錯する。












「護衛としてのせっちゃんやないえ。『ウチの幼なじみのせっちゃん』にな。」



お嬢様の真意が読み取れず、身じろぎ一つできない私は・・・ただ、お嬢様の次の言葉を待つのみで。











「せっちゃんがいくら強ぅても・・・例え、誰にも負けないくらい強ぅなっても、せっちゃんが女の子で
あることに・・・変わりはないえ。だから・・・誰かを好きになることは・・・悪いことやないんやよ。」







寧ろ、ウチ・・・嬉しいくらいや・・・。









そう続けられたお嬢様の言葉に・・・私の中で、何かが弾けた。












抑えていた感情の箍。

守り続けてきた誓いの枷。



今まで抱え込んできたモノ・・・一切合財。












「・・・・・ません・・・すみません・・・お嬢様・・・」




堰を切ったように溢れ出た・・・熱い雫。








こんなコトではダメだ、こんなモノ必要ない。
そう願っても、抑えることなど叶わずに・・・ただただ、とめどなく溢れ続ける。








「せっちゃん、ここは謝るトコでも、泣くトコでもないえ・・・」









そっと私の肩を抱きながら・・・お嬢様がやんわりと微笑む。
初めて出会った時と全く変わらない・・・優しい、優しい・・・全てを包み込むような笑顔で。



















「大事にしぃや・・・せっちゃんのキモチ・・・」















柔らかなトーンのお嬢様の声に救われて。















「・・・・・ありがとう・・・ございます・・・・・」
















ありきたりだけど、ストレートな言葉が・・・涙とともに、自然に零れ落ちていた。
























・・・・・ついに書いてしまいました。せつネギですよ、せつネギ。(^^;

せつネギ・・・というより、刹那→ネギ・・・ですが。
そして、ネギの出番は・・・全くありませんが。ヾ(;´▽`A``

Web拍手のお礼SS以外で刹那を書くのは初めてですね。
そういえば、このかも初書きです。初書き同士デスカ・・・そりゃ書きにくくて当然かも。(笑)

このかと刹那の関係とネギへの想いを、渡会なりに書いてみました。
アスナは自覚してなくて、ジタバタしているイメージですが、刹那は恋心を自覚していても
自分からは踏み込めないイメージです。誰かが背中を押してあげないと・・・。
刹那の背中を押せるのは、このかしかいないでしょう・・・というコトで、出来がったお話です。


よろしければご感想など拍手や掲示板まで頂けると嬉しいです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!





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