『・・・・・ギ・・・・ネギ・・・・」







・・・・・・・・・・誰かが・・・僕のコトを、呼んでる?








『・・・・・ネギったら・・・いつまで寝てんのよ。』








聞き覚えのある・・・声・・・・・何だろう、ひどく・・・嬉しい。










『このバカネギ!いい加減にしないと怒るわよっ!』









もう、怒ってるじゃないですか・・・・・アスナさんは・・・。














―――――そうだ、アスナさんだ・・・この声、アスナさんの声だ。






アスナさん、アスナさん・・・よかった・・・・・無事だったんだ!


あれは・・・やっぱり、悪い夢だったんだ!!








しっかりと、僕は両の瞳を開いて。







ボクの視界に飛び込んでくるのは・・・眦を吊り上げた、怒り顔のアスナさん。
















そのはずだったのに。















何処までも広がる・・・・吸い込まれそうな、漆黒の闇。


闇の中・・・重力に抗うことなく、堕ちていく・・・アスナさんの身体。






追いかけて、追いかけて。







必死に繋いだ、その手から。


抱き上げた、その身体から。





じわじわと・・・まるで、侵食されるかのように伝いくる、死の感触。












「・・・・・や、やだよ、アスナさん・・・アスナさんっ!!」

















         
無     色

















自分の声で目が覚めるなんて・・・初めてだ。




いつの間に、眠ってしまったんだろう・・・。

虚ろな視線を、ゆっくりと彷徨わせて、辺りの様子をうかがう。






僕の隣には、さっき僕が手向けた・・・白百合の花束と、仰向けに眠る、カモ君の姿。







「・・・そっか、僕・・・ここで泣き疲れて・・・・うたた寝しちゃったんだ。」









暗闇の中を吹き抜ける一陣の風が、頭上に広がる世界樹の枝を、大きく揺らす。





















『・・・・・ネギ先生、アスナさんはもう・・・帰ってこないです・・・。』




















この前の夕映さんの台詞が、頭の中でそっと響く。













分かってる・・・分かってる・・・そんなコト。







アスナさんは・・・僕の目の前で、死んでしまったんだから。


誰よりも近くで、その時を・・・見届けてしまったのだから。






そんなコト、分かってる。














―――――分かってる?・・・・本当に?












確かに、アスナさんは・・・もういない。


僕の手の中にある、鳴らない鈴が・・・何よりも、その証で。










―――――でも、本当に・・・分かってる?











・・・・・違う、違う。

分かってなど・・・いない。









分かってるフリを・・・してるだけだ。















どうして助けられなかったんだろう。


どうして何も出来なかったんだろう。





いや・・・今からでも遅くない。




アスナさんを・・・もう一度、もう一度。


















『魔法は奇跡じゃないんだ!』






















エヴァンジェリンさんの言葉が、頭の奥のほうで響く。








まるで何かの・・・警鐘のように。



















どうして・・・?



僕は、魔法で・・・たくさんの人を助けるために、魔法使いになりたいんだ。





立派な立派な・・・・魔法使いに。







その力でアスナさんを助けようとして・・・何が悪いのだろう。













魔法は奇跡じゃない・・・それなら。




それなら・・・僕自身の力で、やり方で。












アスナさんを・・・助けたい。















「・・・・・取り戻したいんだ・・・あの時間を・・・大切な、大切な・・・人を。」













毎日毎日、当り前に訪れると思っていた・・・あの日々。


喪って始めて気づいた・・・その大切さ、そして、儚さ。









手を伸ばせば・・・振り返れば。










そこにいつも・・・・・アスナさんがいた、あの日々を。













「・・・・・取り戻すためなら・・・僕は、何でもする・・・・・」


























この彩(いろ)を失った世界に、再び・・・アスナさんを取り戻す方法が、あるのならば。


























後味の悪い話でスミマセン。こんな話しか書けないのか・・・夜神。( ̄▽ ̄;

このお話は24話と25話の間の話なんで、本来なら24話後のSSなんでしょうけど、
25話のネギの壊れっぷり(苦笑)を見たら、つい勢いで書いてしまいました。(勢いかよ)


25話の内容云々は、また別の場所で語るコトとして、とりあえず置いといて。(笑)

なんだかネギのアスナに対する想いの深さを、この2、3話で本当に感じました。
そういう意味ではアスネギ好きとしては、嬉しい限りだったりするのですが。

このお話のタイトル「無色」は、同タイトルの上原あずみさんの歌が、イメージだったりします。
女性の歌なんですが・・・歌詞が、ちょっと今のネギっぽいのです。(夜神にはそう見える。笑)
興味のある方は、歌詞検索で探してみてくださいね。



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