「私はアスナ。神楽坂明日菜。」





その名前を聞いた瞬間、思わず・・・涙がこぼれた。



















キミと出逢った必然

















微かな寝息が、薄暗いテントの中で小さく響く。





よかった。よく寝てるみたいだ。



アスナちゃんが眠るまで、ずっと傍にいて。
テントの外に出た僕が、お父さんに何気なく聞いた話から分かった・・・アスナさんの亡くなった理由。





魔族との契約。
マジックキャンセルの理由。
カレンダーの印。

・・・・・アスナさんの涙。





いろんなコトが頭の中で交錯して・・・いてもたってもいられなくなって。





まるで逃げるように、潜り込んだテントの中で耳にした小さな寝息に、思わず安堵のため息が洩れる。





当り前のように繰り返される、そんな命の営みでさえ、今の僕には涙が出るほど嬉しくて。
柔らかに艶めくオレンジ色の髪のその一房を、そっと指先で掬い上げる。






「・・・・・何か、変な感じですね・・・アスナさん。」








出逢った時からずっと、見上げることしかできなかった、アスナさん。
いつだってアスナさんの視界は、僕よりも高いところに広がっていて。


早く大きくなりたい。


いつからか、そう思うようになっていた。
大きくなって、アスナさんと同じ高さで・・・世界を見ていたい。
そしていつかは、アスナさんよりもより高い場所から・・・アスナさんを見つめることが出来たら。




ずっと、そう願っていた。





でも、僕の前に立ちはだかる・・・もう一つの、現実。









―――――決して埋まることのない、残酷な時の隔たり。








僕がどれだけ大きくなっても。
アスナさんとの『身長差』を埋めることが出来たとしても。


生まれてから今まで・・・重ねてきた年月の隔たりまで、埋めることは出来なくて。




いつまで経っても、どんなに頑張っても。




僕はアスナさんにとって『年下』であることに、当たり前だけど変わりはない。








それは、紛れもない事実。











でも、今・・・僕の目の前で寝息をたてているのは・・・小さな、小さなアスナさん。








10歳の僕と、5歳のアスナさん。
ありえないはずの・・・邂逅。





でも、これは・・・紛れもない、現実。







「僕はずっと、アナタに追いつき・・・追い越したかったんですよ・・・アスナさん。」






小さなアスナさんは、それでもやっぱりアスナさんで。
その仕草も、発言も・・・僕の知っているアスナさんと、ほとんど同じだった。



僕よりも小さなアスナさんに「ガキってダメね」って言われた時には、ちょっとムッとしちゃったりしたけど。



でもそんなトコが却って、アスナさんらしいな・・・とも、思ったりして。







タイムマシンがもたらしてくれた・・・叶うはずのなかった、僕の願い。





今がそんな状況じゃないことも、これが・・・ひとときの泡沫の夢でしかないことも、充分に分かっているけれど。










「キミとは・・・巡り会う運命だったんですよね。アスナちゃん。」











ううん、運命というより、必然。




アスナちゃんに魔族の呪いがかけられたその瞬間から、僕とアスナちゃんの歯車は、少しずつ重なりだして。





だって、僕はアスナさんを助けられるなら・・・何でもするから。
悪魔との契約だって、タイムマシンだって・・・何だって、利用してみせるから。





僕はアスナさんに追いつきたいけど、僕が追いついた先にはアスナさんがいてくれなければ・・・
全然、意味がないから。







だから、アスナさんが魔族との契約で命を落としてしまったのならば。
僕が・・・今、ここにいるコトは、偶然でも運命でもなく。







僕自身が選んだ・・・必然。










目の前のアスナちゃんとは、限られた時間しか・・・一緒にいられないけれど。












・・・・・9年後に、また逢えるから。










「アナタの呪い、絶対に解いてみせますから・・・」











ゆっくりと・・・その柔らかな頬へと落とす、一瞬の口づけ。

触れるか触れないか・・・とても曖昧だけど。
僕にとっては、アスナちゃんへの誓いの口づけ。











「9年後に僕の想い・・・聞いてくださいね。」















―――――アナタの14歳の誕生日の、その日に。





























またやってしまった『ミニアスネギ』。しかも今更25話ネタです。(^^;

以前、アスナ視点で書いたお話『See You』の続きっぽく書きました。
このラスト2話だけでも、書きたいお話てんこ盛り(笑)ですよ。
これ以上アニメの放映がないコトをいい理由に、かなりマイペースに頑張っています。

何度か見直してると、後から色々思うコトや新たな発見とかあったりするんですよね。

アニメのラスト数話のお話は、まだまだこれからも書いていきたいと思っていますので
よろしかったら、ご感想などいただけると、嬉しいです。


全然関係ないのですが、このお話の壁紙の写真は「ゼフィランサス」というお花です。
10月23日。アニメのアスナの誕生花だったりします。(笑)
ちなみに花言葉は『純白の愛』。
・・・・・なんか、こっぱずかしいです・・・・・。(*/∇\*)



最後まで読んでくださってありがとうございました。




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